満足度★★★★
通夜ではないが、誰かが死んで、人々が動き出すという設定は実によくある。これは父親死後三か月、故郷を守る弟のところに都会でも食い詰めているらしいきらわれものの兄が帰ってくる、一族迷惑、という、菊池寛みたいな古めかしい話だ。宮崎の閉鎖的社会を舞台にした家族物語だが、新しい発見がない。劇団員に役を振るためか、無用に複雑な人間関係である。1時間半しかないのにホンが行き届かず、何をしていいやらと立っているだけの役者もいる。家族近隣だからわかりあっているような、いないような微妙なところでドラマを作ろうとしているのだがそういう努力は、戯曲練習と劇団内練習で十分練ったうえでに、公演にしてほしい。