満足度★★★★
いかにもイキウメらしい三つの短編集である。
総タイトルに「襲ってくるもの」とあって、いかにも禍々しいが、日常的に現代人に襲ってくるものの不可解さを芝居にしている。まずは現代科学。次は制御出来ない本能的行動。最後はコミュニケーション、ということになろうか、いずれも現代では完全に制御することはできない。そこを頼っているかのような、あるいは完全が可能であるかのように信じたい現代への警告と言おうか。過去になんどもこのようなテーマを扱ってきたイキウメである。そこは、この劇団特有の舞台にまとめている。
だが、今回の素材は、かつて、同じような短編から出発して、近未来的な面白い一夜芝居に仕上がった内容に比べると、奥行きがない。本質的に短編的な素材に見えた。
長年こだわって改変を続けてきた長編「散歩する侵略者」が昨秋の公演で一応「出来上がった」ので、ちょっと骨休めの公演だった。