青春超特急 公演情報 20歳の国「青春超特急」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

     高校3年の卒業式当日から始まり、過去3年間の高校生活を振り返る群像劇でした。大道具は学校によくある机と椅子のみで、それらを移動させたり組み立てたりして場面転換します。俳優が高校生らしい服装をしていることもあり、説明がなくても最初から高校生活を覗き見する気分になれました。物の助けがなくても物語が立ち上がる、シンプルな演劇の魅力があります。

     『青春超特急』という題名ほど猛スピードな印象はなく、ちょくちょく停車する準急ぐらいの感触でしょうか。会話の間(ま)を長く取りすぎだと感じることが多かったです。個人的には過ぎ去る日々への感傷よりも、前のめりの疾走を観たかったかもしれません。

     音楽に疎い私も耳にしたことがある日本の歌謡曲が流れ、歌われました。歌そのものに聞きごたえがある上に、歌詞や音調がエピソードに合っていて、高揚感がありました。ミラーボールもいいですね。照明、音響、群舞による晴れやかで躍動感のある場面を作るのがお上手だと思います。

    ネタバレBOX

     入学、部活、恋、文化祭、受験、卒業、そしてそれぞれの進路。思春期の青春ど真ん中のエピソードがランダムに演じられます。20代以上の大人の俳優が制服姿で高校生を演じること自体に無理があるので、出演者全員が激しいダンスを披露することで、虚構の世界へと誘い込んでくれるのがありがたかったです。

     個人的に、現役高校生が高校生役を演じる高校演劇をよく拝見してきたので、大人だからこそできる高校生の群像劇を観たかった気もしました。たとえば“ヤングアダルト青春劇”と銘打たれた2016年の『保健体育B』は、濃厚なキスを含むラブシーンが山盛りで、20歳の国だからこそできる作品だと思えました。今作は登場人物全員が高校生です。有無を言わせない“高校生らしさ”を見せつけるのが難しければ、どこかに“高校生の世界”を俯瞰する視点を置いても良かったのではないでしょうか。

     セリフで発せられる名前が誰のことなのかすぐにわからず、何年生の時のエピソードなのかの予想もつきづらくて、なかなか物語の深部に入っていけませんでした。12人の高校生全員がはっきりとした個性を持つ魅力的な人物だったので、十分に味わえなかったのが残念です。

     バスケ部のイケメン越川(亀山浩史)と彼に告白したチハル(篠原彩)のキス・シーンがありました。越川は、自分のかっこ悪いところがバレて見捨てられるのが怖くて、チハルに「俺、そこそこかっこいいから(遠くから)見ててよ(だからもう別れよう)!」と言い放ちます(※セリフは正確ではありません)。初めてお互いに付き合っていることを確認して、キスもしたばかりなのに!(笑) とても可笑しくて可愛らしい場面でした。

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    2018/05/17 01:59

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