俺の屍を越えていけ 公演情報 feblaboプロデュース「俺の屍を越えていけ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     90年代以来猛威を揮ったリストラという身近な問題を、通常とは別角度から扱って興味深い展開をみせた。

    ネタバレBOX


     リストラ会議に参加しているのは男女3名ずつの都合6名である。若手から中堅の地方ラジオ局の社員達だ。自分達を育ててくれた上司を自分達の手でリストラしなければならない、という事実に罪悪感を感じている者が多いことが如何にも日本らしいといえば日本らしい。仕事は利害関係に過ぎないのだからと割り切る者が今作で意見表明することはない。
    会議は他言無用、新社長命令である。実は時代の流れで斜陽産業となったラジオ局は、かなりの危機に陥っているのだ。意見が中々でないこと。多数決という日本人が最も選びそうな方法さえ、結果的に出てくる選択肢であり、仮に上司の首切りが自分達に出来なければ代わりに出席者の首が切られるということが判明して初めて有効な選択肢として多数決が選ばれるという有様。予め多数決をより有効にする為の奇数化策すら取られない。まあ、この点は、無効票や棄権などによって結果オーライとはなるのだが。
    地方のラジオ局ということもあるのだろうが、中堅幹部になっているメンバー入社当時の競争率が僅か二十倍と描かれていることは少々驚きであった。自分達が新入社員の頃、メディアの東京での競争率は新聞記者で百数十倍、出版社編集部でも百倍を超える所はザラだったしTVも競争率は高かったからである。無論、コネありとなしでは結果として大きな差があった。まあ、余り些末的なことは良いのだ。
    日本的は日本的で、尊敬する上司をリストラされることが決まった段階でその上司を切ることに最も強硬に反対していた中堅幹部の参加メンバーが、自らの意志で退社を決意するというオトシマエもつけたのだから。また、決定票を投じたのが、件の幹部が最後に目を懸け、自らが引くことを前提に未来を託した若者であった点から、このタイトルが採られていることを思えば、キチンとしっかりした流れが構築されていて、作品として評価できるものであったのだから。楽しめる。

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    2018/05/14 16:15

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