LADYBIRD,LADYBIRD 公演情報 アリー・エンターテイメント「LADYBIRD,LADYBIRD」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    虫かごの中のムシたちによる寓話劇。寓話というと理屈っぽくなるが、観劇しているのはゴールデンウィーク中ということもあるが、大人から子供(小学生ぐらい)まで幅広い。そのどの年代にも楽しめるよう制作されている。
    タイトル「LADYBIRD,LADYBIRD」は劇中でよく聞かれるが、「気にしない,気にしない」といった意味のようである。
    (上演時間2時間10分 休憩なし) 【チームバッチ】

    ネタバレBOX

    虫かごの中という設定。舞台は段差を設け奥全面は切子硝子柄のような両引き扉。天井には変形四角縁取りしたオブジェが横に吊られている。全体的にはシンプルな作りであるが、劇中でのダンスや歌を考慮しスペースを確保している。

    物語はワタナベさんという女性宅の虫かご中のムシたちが悩み苦しみ、それでも仲間を信じ強く生きる姿を描いている。虫かごの中はセミ、オス・メスのカマキリ、メスのカブトムシ・ゴキブリ(2役)そして新しく天道虫、揚羽蝶、女王蜂が加わる。虫かご内は臭いカメムシが仕切っている。虫たちにはそれぞれ名前が付けられるが、それは人間ワタナベに何らかの関わりを持った人の名前が付けられている。思い入れを虫に擬えて…。その虫たちにも気持があり人間が思っているような行動はしない。さらに虫の生態が絡み自然界の厳しい営みも見えてくる。

    虫という生態を描くと同時に、人間の気持を擬人化した”虫たち”が心情豊かに紡いで行く。演じているのは若いキャストであるが思わず舞台に集中させる表現力は素晴らしい。若いキャストを盛り立てるベテラン俳優とのバランスも良い。先に記した虫以外の”ムシ”(全員、触覚を思わせるというヘアスタイル)アンサンブルが多数登場するが、そのダンス・パフォーマンスはコミカルでありスタイリッシュでもある。また主要”虫”による歌唱も上手い。子供ミュージカルということであるが、脚本はもちろん、演出・舞台技術など総じてレベルは高いと思う。

    寓意…人の思いはそれぞれ違う、その違うことを認める。別離を「諦めること」と「忘れること」の違いで描き出す。また虫かごではないが屋根裏の蜘蛛(登場は天井から紐、蜘蛛糸イメージか)が現れるが、そのキャラクターはマイノリティを思わせ差別等を考えさせる。色々な問題意識を投げ掛けるが、観ている子供にも解るような描き方である。理屈を言えば、前提が人間都合で虫を捕ってかごの中というのは生かされている。誰かのために生きるのではなく、自分のために生きる。自然界で生きる”力”、その自由と厳しさを観せても良かったのでは…。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/05/06 13:10

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