ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち 公演情報 劇団印象-indian elephant-「ヴィテブスクの空飛ぶ恋人たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    翻訳劇は、原作と翻訳家(鈴木アツト氏)が思い描く解釈の狭間でどう新しく生まれ変わるか、または変わらないか、その世界観を楽しみたい。公演は画家シャガールと最愛ミューズ・ベラの半生を生演奏にのせて生き生きと描いている。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    客席で挟まれた舞台。ほぼ素舞台で場面に応じて小物が持ち込まれる。公演はシャガール(村島智之サン)と妻ベラ(山村茉梨乃サン)の半生を順々に展開して行く。ただし芸術家としての”画家”に関しては絵画が登場しないので、その面については印象が弱い。逆にシャガールが生きた時代、ユダヤ人として迫害を受けてきた出来事を重厚に語っていたように思う。

    ロシア革命と社会主義という時代の奔流が渦巻く。第一次世界大戦前、シャガールはサンクトペテルブルグ、パリ、ベルリンを移動し活動をする。第二次世界大戦が始まり、ナチスのユダヤ人迫害が始まると、シャガールはアメリカへ移る。戦後、ユダヤ人虐殺を乗り越えパリを活動拠点にする。転々としなければならない状況、環境がそのまま物語として動いている。
    妻ベラを愛し、ベラへの愛や結婚をテーマとした作品を多く製作したと言われており、その様子は妻をモデルに描いている様子で表現している。

    シャガールは、様々な角度から見た物を一つの画面に収める画法で、一点透視図法とは一線を画すと言われている。いわゆる「キュビスム」の影響を受けたと。この公演は舞台を両側(客席)から観るようにしている。その意味(多角視)でシャガールの絵画の見せ方に似ているように思ったが、鈴木氏はそのことを意識したのだろうか。

    素舞台にも関わらず情景がしっかり浮かび上がる。もっとも地理(場所)的なことではなく、情景描写としての時代・社会的なことと妻との愛という個人的なことである。役者はそれをしっかり体現して観(魅)せてくれた。また絵画ではないが、”芸術”繋がりで、ヴァイオリンの生演奏も適所で奏でられ印象深くなるのも好かった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/04/26 18:30

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