満足度★★★★
鑑賞日2018/03/18 (日) 19:30
マルク・シャガールとその妻ベラの愛の物語。
説明文には「シャガール絵画に秘められた愛と狂気」とありますが、「絵画」どうこうについては特に語られているわけではありませんし、(彼の作品を象徴させるような演出は一部ありますが、それに解釈を加えているわけではありません)「狂気」と感じさせる描写もなかったように思われます(多少、芸儒家ですから常人とズレているということはありますが、けして狂気というほどのものではない)。
ある意味、他愛なく相手に恋をして、双方のめり込んでいくのだけれど、2人は
2つの世界大戦、ロシア革命、ナチスの台頭というヨーロッパを覆う大きな影に翻弄されていきます。そして、ユダヤ人迫害。
まあ、現代日常でも、ただでさえ芸術家の家庭で生活の安定が難しい中、出産に子育て、流浪の生活となれば、お互いの間でいろいろな軋轢が生じるのは当然なわけです。
だからむしろ、歴史に大きく翻弄されながらも、意思の疎通に障害を被っても、この2人がひたすらに相手を求めてやまないということは、ただただ美しい。
とにかく、役者さんがよい。
マルクを演じる村島智之さんは快活に飛び回り、天才然とも大人然ともしない純粋無垢なベラへの愛と絵画への執着を演じきります。
(ちなみに、村島さんはシャガール本人似らしく、家で調べたら本当、似てる。なお
フライヤーの写真より、本物はかなり男前です)
ベラを演じる山村茉梨乃さんは、自身の感情に正直に強く強くマルクを求める演技は、明朗さと情熱、時として辛苦の表現をもって、観客を痺れさせます。
小日向星一さんは、2人を取り巻く幾つもの役で、そつなく2人の苦悩も喜びも引き立たせています。
田代晶子さんのバイオリンは、簡潔な舞台装置に、幾つもの美しい花を飾り付けてくれます。
うん、マルクとベラは確かに空を飛んでいましたよ。
鈴木アツトさん司会のアフタートークは、シャガール自身にスポットをあてた内容で、シャガールに造詣の深いゲストを呼んで、毎回テーマ別に取り扱うという点で有意義だと思います。
アフタートークというと、演出やプロデュースの意図や目的、あるいは役者の解釈や演じ方などが語られるのはもちろん、楽屋裏話が出てくるのはまだよい方で、中には質問コーナーや取り留めのない雑談に終始して、何のためのアフタートークかと思わせるものも少なくない。そんな中、きちんと語るべきことが整理されて催されていることに好感を持ちました。
2018/04/19 11:17
また、アフタートークでの鋭い質問もありがとうございました。
これからも劇団員一同精進していきますので、
また機会がございましたら、是非見にいらしてください。
今後ともよろしくお願いいたします。