最後の炎 公演情報 文学座「最後の炎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ドイツの作家の新作である。イスラムのテロで揺れるヨーロッパの市民生活の現在を表すようなコラージュである。こういうスタイルの現代演劇の始祖はブレヒトだからドイツの作家が受け継いで展開させていくのはごもっともであるが、この作品に限っては、日本の観客に届くには距離がある。戯曲の内容はそれほど特異なものではなく、イスラムのテロや難民問題だけでなく現在のヨーロッパが直面する高齢者問題、家庭の崩壊、市民社会のモラルの問題なども素材にしていて、一般性もあり、現代社会をトータルで舞台に乗せてみようという作者の意図なのだが、演出のスタイルが大上段に構えた前衛風なので、観客も受けて立つのが大変である。



    ネタバレBOX

    劇場中央に大きなボンがあり、そこへ四方からエピソードに応じて抽象衣裳の俳優が登場して進行する。観客は周囲から見るスタイルである。ボンはゆっくり回っているから舞台正面がない。完全な回り舞台は実は多くはない。劇場は、かなり落ち着かない。
    戯曲はエピソードがいくつかの筋が重なっていくのだが、ト書きの部分や、詩的と言ってもいいか、台詞とは異質の言葉を聞かせる部分が混在して、その交錯の面白さになかなか慣れない。輻輳するストーリーも気になる。。
    俳優はさすが文学座、台詞はよく聞こえるし、動きもいい。それだけに、演出者がヤッタレッ!と張り切ったのはよくわかる。控えめな音や音楽の処理もいい..
    こういう舞台をやれるのはやはりこのアトリエだけだろう。ブレヒトもついにここまで来たかとある種の感懐はあるが、さて、このスタイルが広く受け入れられるかどうかは疑問である。今日の観客もご老人から中学生までいたが(ここもさすが文学座だと思う)現役バリバリの二十歳三十歳代の顔が少ない. 日本で言えば「三月の五日間」「散歩する侵略者」と言うような作品だ。だが、アフタトークでは岡田利規も登場するが、考え方はかなり違うと思う。

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    2018/04/19 00:10

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