満足度★★★★
まず、日本ではお目にかかれない作品であろう。
日本の演劇は、日本の現代に対するマクロな視点が抜け落ちている。現代の個人を描いた作品はゴマンとあるが、現代の社会に向き合ったものは、中々、ない。社会的な対立に踏み込む恐れもあるからだろう。
が、同作は、ネット社会やグローバル化、それに伴う新たな形のナショナリズムの勃興など、諸問題を炙り出している。
テレビやラジオ、勿論、ネットなどなかった時代に、演劇が担っていたであろう風刺や、警鐘といった役割が、今でもドイツではちゃんと意識されていることが理解できた。
私自身の演劇に対する向き合い方に、一石を投じてくれた作品でした。