満足度★★★★★
鑑賞日2018/02/19 (月) 19:30
座席1階1列
価格1,800円
ノワール(永澤洋、立川ユカ子)の回を鑑賞。
SETアトリエへの地図を検索しても出てこないので、難儀しました。
会場は満杯で追加の椅子も設けられるほどに盛況。関係者も多かったのかもしれない。
受付、案内などの劇団関係者の手筈もきびきびして気持ちがよい。やはり、若手劇団員はこうじゃなきゃ。
昨日、紀伊国屋サザンシアターで三宅さんの芝居(コント)を観たばかりだからか、舞台の内容と相俟って、これがSET?とよい意味での違和感を得た観劇でした。
被疑者の女性Aは殺人未遂で訴えられている。これを弁護する弁護士Bは女性の元夫。
Bは他に好きな女性ができて、離婚。BにはAへの慰謝料500万円が重くのしかかっている。
しかし、そのBを弁護士に指名したのは、A自身である。そして、殺人未遂の被害者Cは、Bの大学時代からの親友で、AをBに引き合わせた人物。CはAのマンション4階の部屋のベランダから落下し、意識不明である。Cは現在Aと付き合い、妻帯者であるが離婚を進め、将来的にはAとの結婚を視野に入れている。Aは被害者の子供を身ごもっている。(妊娠はしているが、誰の子かは明確にされていない)
こうした設定で、AとBのパ・ド・ドゥが進められていく。
Aの行為は殺人なのか、過失なのか、事故なのか。殺人とすれば、その動機は?Aの子供の父親は本当にCなのか?そもそも、AとCとは、どういう関係にあったのか?CはBをどう思っていたのか?遡ってAとBとの離婚の引き金は、本当にBの浮気だけなのか?
現象としての真実があるとすれば、それを知っているのはAだけだ。Aに翻弄されるBというのが、物語の骨子なのだが、Bも負けてはいない。幾つかの調査で、Aの嘘を暴いていく。それをAが別の展開でまた切り返して(Aの言い分としては、真相を語るといった形で)いくのだが、その切り返しも切り返されて、、、
それでも、舞台は深い愛の物語、涙涙に終わるかと思いきや、、、
2人舞台では、セリフのキャッチボールを緩急・抑揚で、喜怒哀楽を織り交ぜながらリズミカルに呼吸を合わせなくてはならない。何せ、独白を除けば、セリフを話す相手は1人なのだから、同一のリズムに落ち込んだらアウト。そうすると、セリフを聞いている側の表情・動作が重要なのだけれど、ノワールの2人はその受身に空白がない。相手の長セリフの間も、無言だが一切停止することがない。言葉を1つ1つ受け取りながら、その感情を表現していく。見事。
ただ、この芝居は会話劇に失われがちな動きを、ところどころに散りばめながら、停滞をうまく回避している。2人の抱擁シーンのギミックも、演出の勝利です。
これで映画1回分1800円は安いわ。今後も同様な企画を期待しています。