満足度★★★
鑑賞日2018/02/06 (火) 14:00
6日午後、下北沢の小劇場B1で上演されたOn7第4回公演『かさぶた』を観に行った。この劇団は、30代の大手劇団に属している7人の女優、すなわち保亜美(俳優座)、小暮智美(青年座)、尾身美詞(青年座)、安藤瞳(青年座)、吉田久美(演劇集団円)、宮山知衣(テアトルエコー放送映画部)、渋谷はるか(文学座)によって結成されたユニットで、今回は渋谷がサポートに回り6人の出演する舞台となっていた。そもそもこの舞台をなぜ観に行ったかと言えば、ある舞台でもらったチラシの中にこのOn7のチラシが入っていて何気に観ていたら出演者に尾身の名前を見つけたから。尾身の演技は、劇団桟敷童子の舞台で何回か観ていたので名前に覚えがあったのだ。
さて、今回の舞台はディバイジングという手法で作られたもの。あるテーマに基づいて動きと最小限の台詞で成り立っている。もちろん、舞台として完成するまでには。出演者による感性の相互理解が必要なわけで、そこには豊かな感情と高度なテクニックが演者に要求され,同時にそれをまとめる確実な力が演出者(今回は、大谷賢治郎)に求められる。
いくつかのシーンで構成された『かさぶた』の舞台は、時には「なるほど」と演者達のかさぶたの思いが伝わってきた反面、時に「これのどこがかさぶた?」と思わせるシーンもあったことは確か。ディバイジングという手法の怖さは、舞台を作り上げる過程における役者相互の感動が強すぎると、その感動を観客に伝えるというプロセスが希薄になってしまうこと。自分の観た回では終了後出演者によるトークが行われたが、それを聴いていて、役者相互の感動の度合いがやや強すぎるのではないかと感じた。かさぶたが伝わらないシーンがあったのは、そのためであろう。本人達にとっては熱演であったと思うが、受け手としての自分としては好演ではあったが演技に空回りの見えた点が残念という思い。まぁ、一つのチャレンジとしては、役者も観客もよい体験であったと言えるだろう。