Do Munch 公演情報 みどり人「Do Munch」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     開演前、突き当りスクリーンには、エンドレスな映像が映されている。客席は、上手長辺に沿って高低差のある2段と入口横、つまりスクリーンの真反対にこれも高低差をつけて2段。上手長辺の真ん中辺りにムンクの絵が数点飾られている他は、舞台美術なし、床もフラットである。

    ネタバレBOX


     開演直後、女が一人ふらふらと入ってきていきなり倒れる。これがムンクの幼い頃、亡くなった姉として物語が始まる。ムンクにとって、この姉の突然死は大変なショックだったと推察されるのが、今作の要の一つ、もう一つは、大家の不可解な行動の原点にある。(この不可解については観劇して確かめて欲しい)
     ところで、当パンを読むと、作家自身がムンクに惹かれ続けてきたということだが、何故惹かれるのか、その原因が得心できずにきたという。それが今作を創るきっかけになったということなのだが、自分は、それをガンジガラメにされた日本の、真綿で首を絞められるような逼塞感からのはみ出し行為、即ち自由へのよちよち歩きと捉えた。
     物語り自体は従って芝居の三一致法則からも外れ、劇的展開への工夫も弱い。然しながら、現在日本に住み、暮らしている女性が感じる閉塞感から脱出したいとの念はとてもよく滲み出ている。
     劇的になっていなかった点を以下に若干挙げておくと、大家・茂道の足が悪いことと姉・母の死が関連付けられていない点(ムンクも姉の死の直後母も失くしている、それであのような独自の作品を生み出していると解釈されている)、今作の創作意図にはそぐわないかも知れないが、圭子と瑞紀が終盤のクライマックスに絡んでこない点も迫力を削いだ。
    演出上で門題を感じたのは、茂道が部屋を出るシーンで施錠するのだが、この直後、部屋の中を紙飛行機が飛ぶと、開錠せずに部屋に入って行くシーン。このシーンは幻想シーンなので敢えてこのような演出をしたと考えられないことはないのだが、矢張り感覚的には不自然感が残る。施錠する寸前に音などでタイミングを合わせ、飛行機を飛ばす等の工夫が欲しい。

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    2018/01/30 13:34

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