満足度★★★★
宮崎県立芸術劇場・演劇ディレクターの任を下りて身軽になった?永山智行氏の東京滞在製作舞台。期間は1ヶ月という。俳優は全て東京で調達。青年団との繋がりも濃いらしい永山氏の下に参じたのは、青年団所縁の俳優、その所縁の俳優という具合だが、内輪感なく、内容的には質の高い布陣となった。
劇形式のユニークさは前回の「ただいま」でも物言いの様式にあった記憶が(朧ろに)あるが、今回は会話が無く、二組の夫婦の他方の一人称語り(モノローグ)を代弁する、という形式で発語があり、他は殆ど言葉を発せず能か舞踏のようにゆっくり動く様式の場面で占められる。男女の宿命的関係、倦怠、愛を持ちながらの行き詰まり・・それらの非言語表現が次第に言葉に劣らない雄弁さを持つのに見入っていた。
終盤言葉が多くなり、やや唐突感のある台詞(災害にまつわる比較的具体的描写、政治や世界の事)がどの次元の言葉に解すべきか戸惑ったが、大まかなイメージでどうにか受け止める。終始俳優の様子がよく、穏やかな閉じ繰りの後、ゆったりした時間に身を委ねていた。