満足度★★★★
たった一人の木村になるために
直前まで観に行くかどうか迷った。西部劇らしい?!
あまり期待できない気がしたのだ。客席には200名近くの観客席、しかもほぼ満席である。
それは私の予想を裏切る舞台だった。
まさか広島で、まさかアステールで、広島作のこんな骨太の舞台が見られるとは思わなかった!
西部の町「ヒロシマ」の舞台は、違和感なく目の前で繰り広げられる。アクションがらみのダンスシーンもなかなかの迫力だ。
一人っきりの異質な人間を、和の国日本では、「なぜ折り合いが付けられぬ」「なぜ諦めて人と同じように出来ぬのだ」と公然と追い詰めるところがある。
終幕部の穏やかな静けさが、ことに印象的。
誇り高き弱者のために、私たちは「たった一人の木村」になれるだろうか。