『なんども手をふる』ご来場ありがとうございました。 公演情報 Antikame?「『なんども手をふる』ご来場ありがとうございました。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    静かすぎる舞台の上に、人のつながりと、ふわっとした、うまく言葉にできない不安を鮮やかに描いた。

    (以下はネタバレboxへ)

    ネタバレBOX

    「静かな舞台である」と開演前にアナウンスがあったが、本当に静かなシーンが連続する作品だった。

    静かなのは、普通に会話しているということもあるが、ほとんどがモノローグで構成されているからだろう。
    ル・デコというギャラリー公演にふさわしい内容であるとも言えよう。
    モノローグ率が全体の80%(個人的な印象)な作品ということもあり、「小説的」な作品でもあった。

    モノローグが多いのだが、退屈はしない。

    先日観た、ままごとの柴幸男さんの作品『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』もモノローグが多用されていた。
    しかし、それとは印象が異なる。こちらのほうがより内省的なのだ。説明ではなく。
    しかも、それが1人の主人公が語るモノローグてはなく、4人の女性が並行して語る。

    それぞれの人物の背景は書き込まれていないのに、その人が浮かび上がる。
    しかし、くっきりとした輪郭を持つわけではない。
    4人の女性たちは、ゆるく触れあい、淡い雑踏の中に消えていく。

    ラスト近くの手を振るのを「見る側」からの台詞が、かなりぐっとくる。

    キャスティングがいい。
    特に4人の女性の。
    衣装も相まってその人が形を帯びてくる。

    それぞれの女性の描き方が上手い。
    そして交わされる会話がかなりいい。少ないけれども。

    ふわっとした、うまく言葉にできない不安が、4人の女性たちの上にぼんやりとある。
    それが日常の一部であり、明日もまた「日常が続く」のだ。
    そのことが印象づけられる、それぞれの女性たちの「結び」(終わりではなく)が上手い。

    大塚由祈子さんが、出会い系で出会った男と交わす会話の中で、かなりいい表情をする。
    その相手の男役の檀上太郎さんは、悲しいほど適役。

    俊えりさんと新納だいさんの微妙な年齢差と、その会話もいい。それぞれの「人」が見えてくる。

    ラスト近くで、40代の夫が見せる行動は、イカニモな感じ、というか狙いすぎて、せっかく積み上げてきた世界観を壊してしまったのは残念。
    本当にそこだけが残念。

    Antikame? は初めて観る。
    出演者からのツイッターによるDMで案内された。
    これも縁なので、行けそうであれば行くことにしている。
    お陰で新しいカンパニーに出会えた。
    次回作も期待できそうだ。

    久しぶりに渋谷のギャラリーLE DECOに行ったが、改装されていたことを知らず、つい、通り過ぎてしまった。中も白を基調としてきれいに改装されていた。


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    2018/01/08 03:21

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