パパ・ユートピア 公演情報 パズル星団「パパ・ユートピア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    登場人物の性質と噛み合った「役者の奔放さ」がコメディとして活きた作品でした。
    若手女優陣の楽しんでる感や、ここらでは見掛けない豊田の劇団からのヒロイン抜擢、自称幻想舞踏家の様々な銅像ポージングの造形美…等々、面白みはふんだんにありました。
    …ただ一方で…せっかくある「特異さ」を活かしきれず、全体としてちぐはぐ感のある印象も残った作品でした。コメディとして前者だけでも楽しめますが、後者がもったいないなぁ…と。

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    ネタバレBOX

    (続き)
    そう思ったきっかけが「この作品の最初の着想が"TPP"だった」…というアフタートークでの話です。
    予想外が色々と渦巻く点が特筆できる本作でしたが、その話が作中以上に…意外の最たるものでした。

    突然、父が語り始めたTPPは作中で異様に浮いており、それが飛び道具としてあるなら…さもありなんです。
    …しかしそれが着想の根幹であるなら、そこからの話の拡がりがもう少しあって然るべきかと。

    TPPから始まってこうなるって、どんだけ迷走たんや…とも思ったのですが、コメディとして味付けしていく過程で、極めて特異な最初の着想を膨らますことが…なおざりになったのでしょうか…。

    もう一つの特異さ。
    本作の登場人物達の特徴は、主人公カップルを除いて…誰も彼もが「頭がおかしい」って言ってよい程に自己中心的…いや、それに留まらず「他人のモノはどうでもいい」ってサイコパス気質なとこ。…
    …それが悪いのではなくて、それならばブラックユーモア路線を貫いても良いはずなのに(むしろその方が私は好みですが笑)、結局、中途半端に母の愛情をアピールする展開になったりして、やはりちぐはぐ感が否めない。

    話の展開でも…
    …「秘密が秘密であるべき理由」が納得できずにモヤモヤするところがいくつかあったのですが、善意を前提で考えると成り立たないロジックも、そういう特異さを絡めるとスッっと呑み込める筋にできる気もします。

    2つの特異さは共に強みだと思うのに、…一般的な面白さやヒューマニズムも追ったが故に、せっかくある特異さを生殺しにしてしまった気がします。

    作演の高倉さんはかなり真面目な気質のご様子で、失礼ながら、もしかしたら自分の特異なセンスを掴み切れていないのかもという気もしました。…特異なところを特異と思っていないから、こういうことが起きるのかも。

    いつにも増して勝手な言い草で恐縮ですが、ちょっと前向きに気になったので書きました。
    的外れならゴメンなさい。こんな特異な曲解されたっ!と笑ってスルーしていただけると幸い。

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    2018/01/06 15:53

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