アトレウス 公演情報 演劇集団 砂地「アトレウス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ①初日。開演時刻ジャストに開演。そんなことをわざわざ公言しなくてもやれることであり、当たり前であることを示してくれた。観劇予定の人は心して行くといい。
    砂地が揺るぎなく砂地であることが嬉しかった。その上で、進化し、最上級の砂地を披露してくれた。至福の時👍
    ②暗い照明、静かに鳴り続けるノイズ、バケツの水の反射光……砂地らしさが生み出す張りつめた空気に酔いしれる。素晴らしい演劇の世界がソコにある。
    開演してすぐにクライマックス。そしてクライマックスの連続。その疾走感に振り落とされないようにしがみつく。
    ③主宰の船岩祐太氏の今作における最大の功績はコロスの使い方。群衆ではありながら、個を際立たせたことで、言葉が力を持った。群衆というより民衆であり、社会の現状を表し、世論の力を示した。それを見事に具現化した6人の女優が素晴らしい。コロスあっての本作だ。

    ネタバレBOX

    ①初日。開演時刻ジャストに開演。そんなことをわざわざ公言しなくてもやれることであり、当たり前であることを示してくれた。観劇予定の人は心して行くといい。
    砂地が揺るぎなく砂地であることが嬉しかった。その上で、進化し、最上級の砂地を披露してくれた。至福の時👍
    ②暗い照明、静かに鳴り続けるノイズ、バケツの水の反射光……砂地らしさが生み出す張りつめた空気に酔いしれる。素晴らしい演劇の世界がソコにある。
    開演してすぐにクライマックス。そしてクライマックスの連続。その疾走感に振り落とされないようにしがみつく。
    ③主宰の船岩祐太氏の今作における最大の功績はコロスの使い方。群衆ではありながら、個を際立たせたことで、言葉が力を持った。群衆というより民衆であり、社会の現状を表し、世論の力を示した。それを見事に具現化した6人の女優が素晴らしい。コロスあっての本作だ。④キャスト全員の声がイイ❗それもキャスティングの要素に違いない。アキレウスの藤波瞬平さんのクリアな美声に嫉妬する。一場の彼の格好よさは、まるで劇画だ。
    高川裕也さんのアガメムノンの、君主としての選択が父親としての絶望であり、心を引き裂かれる思いに涙😢
    ⑤初日のMVPはエレクトラ。永宝千晶さんの憎悪の表出に背筋が凍る。その感情に澱みがない。憎しみ、復讐心、執着心……負の感情の呪縛。まるで『クリスマスキャロル』のスクルージに巻き付いた鎖のごとく、目に見えるようだった。あの男の死体に狂喜する狂気に震えた。
    ⑥アクセルを踏み込んだのはイピゲネイアの岩野未知さんだ。張りのある声で発せられた言葉が真っ直ぐに突き刺さってくる。戸惑いと悲しみと絶望……やがて自己存在価値……いや、死の価値を見出だしたある種の高揚が立ち上る。偶像化した美徳と潔さが、彼女の容姿に似合う。
    ⑦天乃舞衣子さん演ずる予言者カッサンドラ。罵倒されながら、起こるであろう惨劇を叫ぶ姿にジレンマと絶望が漂う。ポップでパンク(ヤンキー⁉)な出で立ちでありながらも滲み出るセクシーさは、死してなおエロティックだ。主宰するみそじんでの姿とは真逆にある。眼福😍
    ⑧生と死を結ぶ6本の血塗られた綱が絡まり導くのはあの世かこの世か…天国か地獄か。人はみな何かに翻弄されて人生をさ迷う。コロスが操る綱が民意であるなら、権力に怯まずに正義や倫理に鑑み声をあげる勇気を讃えよう。ならば、神の名誉をぶら下げられて萎えるのは収賄⁉
    ⑨2回目。見えないなら想像して❗天乃舞衣子さんの「神々~❗」に後光が差す。アガメムノンとコロスの応酬に向ける泳ぐ視線から不安が立ち上る。その対極にある、白いアレを脱がさせるエロティシズムが、葬られた🛀から突き上げられた白い脚によって神の領域に踏み入れた💘
    ⑩演劇はスリリングだということを再認識する素晴らしい作品。開演5秒で作品の成功を知る。
    おかしくなっているのはこの世界の方で、恐ろしいのは神々じゃなくその下にいる人間たち…であるなら、コロスが軍隊のように踏み鳴らして回しているテーブルはきっと世界🌏だ
    ⑪コロスが担う大衆のシュプレヒコールはブンブン五月蝿いハエ。アガメムノンの妃のハウリングも同様なら、オレステスにもエレクトラにも届かない。「人間なのです❗人間なのです❗」神との違いを叫ぶコロスを“慈しみの女神”なる玉虫色の裁定は、まるで現代のバカな政治。
    ⑫父の目論見を知ったイピゲネイアの瞳から目が離せない。三人の娘の父である身には岩野未知さんの視線が突き刺さる。自分が定めた命の価値に囚われ自由を求める彼女の生きる術は…ちょっと可笑しい。逆にアキレウスとのやり取り…これは最上級のラブシーンだ。痺れた💘
    ⑬オレステスとピュラデスの葛藤はメロスとセリヌンティウスのよう。イピゲネイアとの三人の会話の滑稽さは作品に潤いを与える。そこにイピゲネイアの呪文⁉岩野未知さんの「ブッチョ❗」のパワーアップと「カリメーラ」の脱力との振り幅拡大にヤラレた。たまらんなぁ😁
    ⑭永宝千晶さんがエレクトラなのかエレクトラが永宝千晶さんなのか…もうわからない。彼女が発しているのは台詞じゃない。魂の叫びだ。その感情で言いたいことを言っている。だから噛むこともない。母を葬ったことに反発するコロスに戸惑う顔もリアル。弟帰還の歓喜もリアル。
    ⑮コロスの6人の女優さんが個性を輝かせている。団結したり対決したり…社会の縮図だ。皆さん声が素晴らしい❗
    大好きな吉田久美さんの視線……目は口ほどに物を言う。彼女の視線の動き、その先にあるものを考えるだけで、作品の深いところに導かれる。景色を想像する。

    0

    2018/01/05 03:02

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大