満足度★★★★★
某国の劇場を武装した集団が占拠した。投獄されているらの指導者を解放せよ。要求が聞き入れられなければ人質を巻き添えに自爆する、と声明を出して。
物語は、劇場が占拠された数日後から始まり、制圧される直前に終わる。その間に劇場内で交わされた会話から、彼らの目的やそれぞれの出自、思惑が浮かび上がり、そして……。
ドラマティックなはずの題材を、少人数の会話を中心に淡々と描いた、余白の多い芝居である。観終わった後いつまでもいろいろと考えてしまうのは、そこにこめられていた情報量がとてつもなく多かったからかもしれない。
90分の時間とホールの空間を満たした濃密さと空虚さが、遠い国の歴史を聞かされたような儚さに似た余韻を残した。