満足度★★★
男性比率の高い客席。そうだ、女性ばかりの座組だった、と、会場に入ってから改めて気付いた。
彼女たちがダンスや歌も交えて描くのは、公園から追い出されようとするホームレスたちの活躍とある家族の軌跡。
ささやかな約束を守れなかった母に投げつけた言葉を、長女はそれからずっと後悔することになる。なぜなら、母に謝るまもなく家が火事になり家族はバラバラになってしまったから。
そして月日は過ぎ、ホームレスとなった長女はある公園にたどり着いて……。
個性的なホームレスたちの経歴や立ち退きを迫る行政側の対立などをやや戯画的なタッチながら、主要な役柄に説得力のあるキャストを配してテンポよく描いていく。
ホームレス劇団が立ち上がる様子。探偵モノ仕立ての劇中劇。家族の再会。むかし家族で囲んだ食卓。
そして、失われたものは取り戻せなくても、能天気なほどにハッピーな結末。
観終わって元気が出るような、理屈抜きに楽しい舞台だった。