満足度★★★
学校の風景。
彼女ら・彼らの交わす言葉の奥に繊細な想いが行き交う。いくつもの短い場面が、乾いた音で切り替わり積み重ねられていく。その中でしだいに見えてくる過去は深い青に彩られて切ない。
劇中で交わされる会話の柔らかい方言の響きが、重なっていく場面にもうひとつの色を加えていく。
あの子の言葉に、土地の訛りがなかったのはそういう訳だったか、と後から思ったりもする。
現在向き合っている大切な人の死と過去の悲劇とを抱えて、ぶっきらぼうにしか振る舞えなかった少女の自責の念が痛々しい。
あの子もあいつもキミのことを大切に思っていたんだよ、と耳もとで言ってやれたらいいのに。
大きな悲劇を物語の背景に置いたことは、そのことに対する創り手も思い入れや必然性が問われなくてはならないだろう。切実さとかすかな違和感の双方を感じたりもした。
それでも、劇中で交わされた会話やそこに込められた彼女ら・彼らの細やかな心の動きは、観終わった後も確かに心に残った。