満足度★★★★
劇団扉座主宰 横内謙介氏の初期の戯曲を、同じく扉座の鈴木里沙さんが演出する舞台。
14時開演というのに、受付開始の13時にはすでに観客が列を作っていたらしい。演出の里沙さんが劇場前で人々を案内している。受付にも前説にも扉座の役者さんたちの姿が見える。
千秋楽ということもあって、ぎゅうぎゅう詰めの満席である。狭い空間にビッシリと詰め込まれて、90分ほどの舞台を観た。
「テーマ」を喰らい「無意味」さえ飲み込んで走り出した物語は、約30年前の戯曲の寓意を生かしつつ、時代に合わせたテンポのよさで疾走し続けた。
我々は自分自身を閉じ込める檻に気づかず生きているのか。ラストで飛び立った鳥はどこへ向かうのか。
込められたメッセージは、観る者によってさまざまなことを考えさせるだろう。若々しさと同時にある種の郷愁を感じさせる舞台であった。
3度目のカーテンコールに少し困ったような笑顔を見せた犬飼さんと、受付の横で帰っていく観客一人ひとりに頭を下げる里沙さんの生真面目な表情が印象に残った。