大人の条件 公演情報 The Vanity's「大人の条件」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    サスペンス風に仕上げた心象風景劇のようであった。主人公の衣装やセットが白色で透明感がある。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    セットは上演前は、立体ボックス型で閉じている。客席からは白い壁のように見える。物語が始まると壁を折り畳み変形させる。そこは邸宅内、上手側にインターホンが置かれた台、中央奥に塑像、手前にキャンバス・デッサンやベンチ(ソファーのイメージ)、下手側には膝高の円柱腰掛がある。柱にはいくつかの肖像画が飾られている。

    物語はホスピスに入所している女性が、職員に探偵まがいの人物探しを依頼するところから始まる。場面は転換しマツナガ邸_そこに住んでいる三姉妹、特に盲目の三女・夢実(瑞生桜子サン)の視点で展開していく。人の心にある悪意と善意が混じる。物語性を意識したのか、面白くするためラストの展開を急転させる。それまで登場していない人物が現れ、今までの何故・何なのかという疑問や謎を一気に説明してしまったのが残念だ。

    物語は、屋敷の主人コウイチの生前の行いに起因している。有名な画家であったが莫大な借金を残し自殺する。幼い頃、夢実はアトリエに籠もり父のモデルをしていた。10年程前の家族旅行で交通事故に遭い、それが原因で記憶喪失になる。それでも絵が好きで描き続けている。父には数多くの愛人がおり、その中の1人が画廊に勤め、借金返済のために家の美術品をオークションに出すなど協力・援助をしている。その善意とも思えるような行いには隠された陥穽が…。

    さて、父が画家としての名声を得ることになったのは、「クローズド・アイ」という3枚シリーズ。ラストにはこの絵に関する秘密が明かされる。父の凡庸、偽善、欺瞞、偽評価が次々と分かる。さて3姉妹の姉2人は、夢実に過保護とも思えるような愛情を注ぎ、自分たちの暮らしは精神的な苦悩に満ちている。冒頭のホスピス職員がその友人である美大生を伴い夢実との交流を始める。この極めて普通な交流こそが喜び。そして画廊の女性職員の悪意ある告白。そこに潜む偏狂的な父への想い。この善悪という対比に人間の本質を観る。
    心の光と闇_白いキャンバスに燃えるような赤、その燃えた焦げ後の黒、そのコントラストを思わせるような展開は良かったが…。
    劇中挿入歌「星降る夜」も優しくも物悲しい感じが、雰囲気作りにマッチしていた。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/12/27 12:41

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