浮かれるペリクァン 公演情報 劇団黒テント「浮かれるペリクァン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    団員の顔を逐一記憶している数少ない劇団の一つ。音楽において魅力を発揮するという他に、半世紀を迎えんとするこの劇団の現在の特徴を言い当てられないが、「歌」モードにいつでも移行可能な「演技」との距離感がそれと言えば言えるだろうか。(故斎藤晴彦、服部吉次、世代下って内沢雅彦あたりが醸す飄々とした佇まいが、私の中の「テントらしさ」ではある。)演技態としてはさほど統一感もなく、主役級が一人二人いて引っ張って行くという感じでもない。劇団というコミュニティのあり方に思想的裏づけがあり、先ずはそれ有りきな所から染み出てくる風味、なのであろうか。こういう濃い集団にしか醸し出せない芝居の空気感が、恐らくここにもあると思うのだが、言葉でこれと言い表せない。
    団員総出(幾人かは見えなかったが)による一風変わった音楽劇を「オークルチャボット」以来二年ぶりに堪能した。スポコンやくざ芝居から今回は企業社会の諷刺劇、映像作品のようなカット割りの点描が折り重なって後半は演劇的展開になっていく。

    うらみを言えば、・・質感が違うシーンが組み合わされた感あり。また、意味ありげな「間」に役者の意図がはっきりと感じられず、笑いたくても笑いに至らず惜しい箇所も。そして最後、宮崎恵二演じる「元研究者」が現われ、常識的範疇の価値観から巨大なシニシズムに陥って皆をカオスへと引きずり込んでいく~的な場面があったが、一つのクライマックスでもある狂騒曲がもっと嬉々としてやられるには、既成観念をしっかり揺さぶり、呪縛されていた事の無意味さを知る「喜び」を浮き彫りにしたかった。

    さて荻野清子の音楽。私の中の秀逸な荻野楽曲は、今回も随所で黒テント劇を彩っていた。最後の曲は「メザスヒカリノ」に通じるちょっととぼけた人間たちの明日への讃歌だが、曲としては分かりづらかった。

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    2017/12/25 01:58

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