やわらかい扉 公演情報 はぶ談戯「やわらかい扉」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    鑑賞日2017/12/07 (木) 19:30

    2日目の舞台を拝見しました。
    歌詞カード(別にパンフが売られていたので)に書かれてなかったので、完治されたかは分からないのですが、穂科エミさんが長い闘病生活でご苦労されたことは拝察しました。
    とにもかくにもまずは、10年ぶりの舞台上への復帰おめでとうございます。

    さて、はぶ談戯初観劇でした。
    フライヤーを見る限りアダルトな劇団、ピカレスクやエロチシズム、デカダンス、バイオレンスの香りがします。近年の公演名とそのキャッチを見ても、その確信は揺らぎませんでした。
    しかし、今回の舞台は、どうもまるまる昭和の場末調の人情劇かな。イメージ違い過ぎませんか。

    冒頭は、20年前に火災で閉館、廃墟となった総合病院に、映画撮影ロケハンに監督が役者3名を連れてきます。(あくまで、勉強の一環として帯同させているので、設定に違和感はありません)そこに1人の不審な男が現れ、入口を閉じて爆弾をしかけたとニコニコ顔で現れます。逃げたり携帯で外部と連絡を取ったら、手にしたガソリンに火を点けると皆を脅します。男の目的は何か、彼らは脱出できるのか。廃墟に住み込んでいた浮浪者も現れての密室劇。がっちりと心は鷲掴みにされます。
    ここでの謎は、終盤回収されるのですが、、、、

    この場面で登場する、横尾下下さんの監督が、終始ハイテンションで観ていて楽しい。塩口量平さんの明るい不気味さもよい。ただ、、、

    私のように先入観なし、人情ものに抵抗感がなければお勧め。
    劇中歌はどれもオリジナルで、素晴らしい出来だと思います。

    ネタバレBOX

    話は3つの親子、世代で展開します。
    火事場の子供を取り残しで失踪、事故死した奏(かなでと読む)とその娘愛毬
    声を失い歌手として生きられなくなり子供を残して失踪、その後街に戻ってくる純子と育ての母を持ち歌手を目指す琴子
    酒乱の父と気弱な兄(優)を持ち、恋人の女性と子育てをしてきた舞とその息子勝(ウィンと読む)
    ちなみに、子育て時点では3人とも夫はいません。(奏のみ籍が残り夫に追われている)

    優と舞の父親との関係を入れれば、4つといってもよいのですが、先の3つの関係では、子育てをする側の女性が全て、はぶ談戯のメイン女優ということを考えれば、やはり3つの関係が物語の縦糸かと思います。

    奏と愛毬の関係には根深い確執があります。
    純子と琴子の関係には、育ての母も加わりただならぬ悲哀があります。
    舞と勝の関係には、特に何もありません。勝の存在は、舞と両親の関係を象徴する道具立てくらいかな。

    それで、これらがみごとに絡まない。
    いや、接点はあるのだけれど、相互にほとんど何の影響も及ぼさない。
    まあ、確かに「愛の物語」ではあるのだけれど、比較にもならず羅列のままです。

    うーん、これでは、というのが感想です。

    舞台の正面には、「やわらかな扉」を象徴するような扉があります。ラストにちょっとだけ開き光を発します。よい光景なので、それを活かせるような人間模様が見たかった、と思います。

    「やわらかな扉」とは愛情の通用口ですよね。けして固くはないけれど、それゆえに得体のしれない、扱いにくい扉。

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    2017/12/08 10:16

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