満足度★★★★
なるほど・・ラブホの室内という舞台設定が既にして登場人物らの関係の濃密さを約束し、ノーマルな恋人同士以外の設定をひねり出した作家の工夫をしても関係の薄い設定にはならない(全くの他人が居合わせてしまう設定もなくはない=中川安奈と大竹まことが出た映画がそんなだった=が、一見うまそうな設定は正当化に苦慮し、喜劇調を免れない)。・・と考えると、設定が閃けば、話は半分決まったようなもの(なぜなら恋人でない同士が同室する必然性じたいにストーリーは埋め込まれている)。どんな設定かが勝負である(作家の心の声)。
さて、リング上には四作家の命を帯びた俳優らが、演出のコーチをくぐって、いざ出場。
一人で全作を演出というのも、一つの着目点。統一感より多様さが印象だが、各作品の個性を生かしながら全体としてのまとまりも重要。
4作中3作は音楽不使用で、時間と共に進行するドラマ。残る1作は時系列を軽やかに跳ぶタイプで、直裁的エロシーンには奇天烈な音楽が鳴った。
河西氏以外の作家の舞台は観ていたが、開演に駆け込んで程なくフェイドアウトした目ではパンフの字が読めず、上演順序を知らないまま終演まで観劇する。後で作者を照合し、意外な作風、予想範囲の作風・・嬉しい発見もあった。
この種の企画(「15 minutes made」など)は複数の作り手を並べて観られるのが魅力。取り合わせや順序も恐らく重要だろうが、今回初めて目にした「5」も一定のクオリティを見せていた。
最終的には「本音」が語られる場所が舞台である事が、作り手としてはこのシリーズの魅力であろうし、作り手側から染み出す躍動も舞台の魅力に寄与している。