満足度★★★★★
鑑賞日2017/12/06 (水) 19:30
座席1階2列
天動虫は今、何か変わろうとしているのかな。というのも、以下の理由。
1. かなり心理的な痛みを伴う内容の舞台が続くようになった。
2. 劇団員の外部出演が増えてきた。(温井さんなどは、MUに連続だ)
3. メディアにインタビューなどを積極的に出し始めた。(カンフェッティですが)
4. ツイッターやフェイスブックを活用した情報拡散を積極的に推し進め始めた。
(他の劇団よりも結構積極的な感じがする)
5. 3と連動するが、集客にかなりこだわり、様々な割引制度を用意し始めた。
劇団としてのサバイバルなのか、意識の変化なのかは分からないけれど、これは悪いこ
とではない。変化なき者は廃れゆくだけですから。ただ私は1観客として、今までのようにオーソドクスに観劇を続けて、行く先を見届けるだけです。(すみません、非協力的で。おじさんは快楽主義でして、気楽に見たいのです)
さて、フライヤーを見ても、海賊だと書いてあり、少年犯罪とも書いてある。「幻の女」を観劇した時、ジョニーさんから、この舞台の概要を聞いたのだけれど、さっぱりわからなかった。でも、舞台を観て、「ああ、そういうことか」と納得。
「飛び火」以来の活劇調で、ジョニーさんはこうした活劇がよく似合う。とにかく、演技が外連味たっぷりで、指先一つ一つに緊張が走り、その跳躍に開放感が溢れる。(「煙のミロク」を観られなかったのが残念)御年○○歳ということだけれど、こういう芝居は若い時にしかできないのだから、役やテーマは替われど、こうした芝居をどんどんするべきだと思う。それでも、悲哀や煩悶、歓喜や安堵を演じる力量は、十分培われていると感じるし、一幕劇のようなコミカルな演技と相俟って、十分に役者として成長していると思われるから、心配ない。
ジヨニーさんは脇で抑えた演技をさせると、結構な女前なのと立ち位置をわきまえすぎて、何とも没個性的になってしまってもったいない(「上を向いて歩こう」の女霊媒師や「ドドンコ、ドドンコ、鬼が来た」の3姉妹とか)。脇で主役を光らせることは、主役の経験値でも養われるから、脇を張る時でもやはりはじけて欲しい。
温井さんは、いまや完全に天動虫舞台のキーマン役だ。「幻の女」に続いて、この舞台でも抑え目で目立たない役を、ラストから逆算して登場直後から慎重かつ丁寧に演じている。
こうした役を演じきれる方はそうはいないと思うので、今後は、客演も引く手あまたにならんことを祈っております。
杉本さんは、舞台設定を活かす上での重要なスパイス役。過去については詳しく分からないけれど、どういう立場なのかはよく分かる。だからこそ、終始大声で怒鳴るばかりではもったいない。法律(青少年更生法)に反対なのか、少年そのものの存在否定なのか、脳内に意図的な作業を施すことへの批判なのか、それとも全部なのか。その辺りを、もう少し強弱のある演技で仕分けて欲しかった。
「幻の女」でも、号泣していた男性がいたけれど、初日、私の隣の女性もラストでワッと泣き崩れました。帆足さん、演出家冥利に尽きますね。
追伸:2時間は全く構わないのですが、お尻が痛いのは何とかならないかな。
次回公演も同じ劇場らしいので、ちょっときついです。