満足度★★★★
普通に面白く楽しめました。
原作にないチェスが大きくフィーチャされています。こんな立派な駒をどこから借りてきたのだろう、落としたりしなければ良いがと余計な心配をしました。
元々、シェークスピアの描くヘンリー8世は印象希薄で「ウルジー対キャサリン」という色合いが強いのですがこちらでは、そこにより重みをおいています。エンディングは、共に失脚した二人がチェスをしながら昔を懐かしみ、お前も悪よのう的な含みを持たせて終わります。原作ではウルジーが亡くなったことをキャサリンが聞いて「はてしない貪欲の人だった…」と回想するだけですし、エンディングはアンに女児エリザベスが生まれるところです。
途中で二人組の悪魔が現れて場の説明をしたり、ウルジーの悪行の発覚が実は彼らの仕業であるというシェークスピアもびっくりの暴露があったりして中々楽しめます。
役者さんはみなさん達者でストーリーは素直に頭に入ります。また、予算の関係もあるのでしょうが変にビジュアルに凝ることもなく安心して観ていられます。原作に思い入れのない私には4つ星の優秀作ですが、原作をいじくりまわしたところに反感を持つ人がいることも容易に想像できます。
演劇鑑賞初心者の私としては原作に忠実なシェークスピアを観たいのですがあまりないようですね。もっともこの「ヘンリー8世」は原作が面白くないので優先順位は下の方ですが。