棄てられし者の幻想庭園 公演情報 中二病演劇集団Schwarz Welt「棄てられし者の幻想庭園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    当日パンフの副題「公式解説書」…そこには「本作品をよりお楽しみ頂くため、ぜひ公演前に本書をお読み下さい(著者:雪名ひかる)」と書かれている。それだけ難解であるのか?さらに「作者からの言い訳」なる文も掲っている。
    公演全体は”ストーリーゲーム”の異世界をダークファンタジー風として舞台化した、そんな感じの展開である。何となく寓意、教条的なことが垣間見えるような気もしたが…それこそ中二病のように背伸びした妄想かもしれない。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    セットはほぼ素舞台で、白いBOX椅子がいくつか。場面状況によって組み替えソファーにしたりする。
    物語冒頭は事故死を思わせる。その先の世界観は死後と捉えていたが、当日パンフの言い訳からすると「現実世界を舞台に能力者が活躍する話」のようだ。この二次元世界=ギルド(日本には5カ所あるらしい)は民間からの危険な依頼を解決する組織の総称。そして本作では理不尽な死を無くすために暗躍するらしい。そこで活躍する人物は個性豊かなメンバーであり、それぞれ異なったスキルを持っている。そのスキルを駆使してこの世の理不尽な死を無くす行動をしている。本作品の主な舞台は「幻想庭園(ファンタズマゴリア」というギルドの一つ。

    主人公アカネがこの世界に来て、色々な人物との交わりを通じて理不尽な死を感じているが、自分自身の存在が忌み嫌われているような。その浄化を果たすため、交わりを結んだ者たちとの対決。その過程を通じて真の自分を取り戻すといった内容であろうか。
    初めの世界観の不可思議さ、浮遊感そのものが現実離れしたイメージを漂わす。また各能力(スキル)も魅力的であるが、その表現が十分観客に伝わるだろうか。

    作者自身でも、設定もメッセージも盛り込みすぎたと書かれている。その分旨味はギュッと濃縮しているとも。しかしその思いは具体的な世界観をイメージさせるまでにはならず、また魅力的な能力の発動自体も分かり難く残念。当初よりもシーンをカットして再構成したようだが、その分説明が省かれ分かり難くなったと思う。映像やマンガでの能力描写は容易いかもしれないが、演技でそれを表現させるのは難しい。この2つ(物語の再構成と能力描写)の難しさを克服し、しっかり伝えなければ公演の魅力が半減してしまうと思う。

    物語の趣旨・内容は面白いと思うが、それを表現し伝え切れなければ勿体無い。役者の熱演だけでは、異次元という世界を描ききれないと思うのだが…。
    もう少し「妄想」→「幻想」→「現実」の世界への移ろう風景・姿が見えると面白いだろう。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/11/19 14:40

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