三人義理姉妹 公演情報 年年有魚「三人義理姉妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     ちょっと変わったレイアウトである。

    ネタバレBOX

    板を客席がLを90°左旋回した形で囲んでいるのだ。一段高くなった中央には、正面と上手側にソファが設えられ、どちらからも使い勝手の良い位置にテーブルが据えられている。この応接間の奥には欄間に透かし彫りを施した上に障子にも対角線上に矢張り透かし彫りを施した優雅な拵え。無論、障子の透かし彫り、意匠は異なる。応接間の左右に延びた奥の間へ通じる障子の手前には、地面の高さにフラットな空間がある。また、応接間へ通じるアプローチは、劇場入り口へ斜めに伸びて赤く彩られた通路を際立たせている。
     さて、このかなり豪華な家屋の設定は何を意味するのだろう? 一瞬タイトルに戻ってみよう。チェーホフのもじりであることは明らかなこのタイトルの下、この豪勢な屋敷の意味する物は、政治家の家である。それなりのエリートという訳だ。(言っておくが今作で描かれている政治家は、現在、日本を牛耳っている下司共とは一線を画している)
     その上で、政治家一家の用いる言葉、或いは言葉を用いた会話・対話とその家に嫁いだ庶民感覚を持った嫁との言語のコノタシオンの相違によるぎくしゃく、ギャップによる現実解釈の相違に至る意味深長を巧みに描いて、チェーホフの世相観察に迫るものがある。
     以上のことから当然に、政治家とその秘書との間に展開する権謀術数、スキャンダルを利用しての画策は当然のこととして、それが事件化するか否かの瀬戸際で、家族それぞれ、また使用人たちの態度に、リアリティーが感じられる所に今作の作家の才能を見ることができる。休止などせずに突っ走って貰いたい。

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    2017/11/18 04:09

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