『事件』という名の事件 公演情報 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場「『事件』という名の事件」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    鑑賞日2017/11/07 (火) 17:00

    座席1階1列

    どのようなアレンジで「横浜事件」を描くのか、そこを最大の興味として舞台を拝見しました。かなり多くの登場人物(冤罪をかけられた人々や、特高警察官、周辺の人々)が想定されますから、どこの部分にスポットを当てて芝居として成立させるかということが必要になってきます。

    ネタバレBOX

    しかし、残念ながらその部分は成立していません。確かに登場人物は20名程度に絞られています。(ただし、特高警察についても、不特定の人物ですと、同じ役者さんが演じていても同一の人物ということではないでしょう)舞台装置のない円形の舞台(壁と舞台上には、調書らしき紙がコラージュのように貼られているだけで、あとは椅子と拷問を受ける人形があるだけ)ですから、シチュエーションは役者さんの発言内容・言葉遣いや、壁に投影される文字から読み解くしかありません。複数の役をやらなければなりませんから、衣裳も皆、個性を映えさせない同じデザインのものを着用しています。

    そこで、何か混乱が起こっているようなのです。すでに6回目の公演なのに、セリフが詰まってしまう方、朗読を円滑にできない方、演じ分けようとして声が上ずってしまう方。今、何の役を演じているか迷っているようです。

    舞台はテレビドキュメンタリー的に進んでいきますが、そこがどこなのか、いつなのかが観客にはよく判りません。

    ふじたあさやさんは、御父上の作られた本を読み解くような形で、脚本を作り演出されたようなのですが、それでしたら映像か文字に任せておいた方がよかったのではないでしょうか。結局「横浜事件」というものがありました、共謀罪は治安維持法になりかねません、という主張があるだけで、強い怒りも悲しみもない舞台になってしまったような気がします。舞台という空間と時間に制約のある表現手段では、どうしても部分的に切り取る作業が必要ですし、事実をなぞるとしても想像の域を出ないことはあるわけですから、そこを整理して「芝居」として見せる工夫が必要などだと思います。

    残念な舞台でした。

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    2017/11/08 17:08

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