期待度♪♪♪♪♪
連綿と受け継がれる寺山修司の作品。1960~70年代、今から思うと昭和の古色蒼然とした感のある時代、そんな時期に生を受けた私にとって、何となく当時の空気は懐かしくもあるのだが、同時にあのような混沌とした時代があったことに今更ながら驚かざる負えない。そんな時期の作品を、当時を駆け抜けた人々が、再演しようというノスタルジックも分からなくもないのだけれど、ここまで無味無臭、整然とした時代に生きる人たちにどれほど理解してもらえるのか。でも、寺山作品は常に舞台の対象だ。
「青森県」と県名で言い切ったところに、この作品の肝があるように思う。地名ではなく行政区域で表現する寺山修司の感性には、常に抗いたい中央統制への反発があるのか。
ザムザ阿佐ヶ谷という最適な舞台で、寺山修司の闇の再現を期待する。もちろん、手垢のついていない感性をもって、という条件付きで。