すごく面白かった!今回の『散歩~』は大人でスタイリッシュ!上演時間は約2時間10分、休憩なし。客演の内田慈さんが抑えた演技でエレガントに魅せてくださいました。看板劇団員の浜田信也さんは私が今までに観た中で一番良かった~!
現代が舞台の、SFの設定を活かした密な人間ドラマです。演劇ならではの軽やかかつシャープな場面転換で抽象空間を変幻させ、想像力を大いに刺激してくれます。コミカルなやりとりが心地よいアクセントになっており、ベタだったりシニカルだったり、笑いの種類も豊富です。笑っていいのかどうかわからないアンビバレントな空気を作るのも巧い。
実はド直球のラブ・ストーリーでもあるのですが、抑制の効かせかたが見事でした。ギュっと凝縮した空気が持続し、巧妙にじらされて(笑)、最後は落涙してしまいました…! 芯の熱さを徐々に表に出していく演技のグラーデーションも、微細にコントロールされています。俳優の仕事をしてくださっていると思いました。
2005年、2007年、2011年と拝見してきた私に、2017年版はどのように響いたのか。中身は変わっていないのに、やはり時代を映すことになるんですね。上空で戦闘機の爆音が轟く、基地のある海に近い街といえば、今の沖縄ですよね。「ミサイルが飛んでくるかも、戦争が起こるかも」と庶民が噂をする状況も、驚くほど今の日本と重なります。否応なしに実生活、社会状況を意識しながら拝見することになりました。
たまたま木下順二さんの書籍「“劇的”とは」を読んでいまして、前川さんの作劇術は木下さんの分析にぴったり当てはまると思いました。
拙ブログより。http://shinobutakano.com/2017/11/03/7467/