満足度★★★★★
テネシーウィリアムズ作品のメガ盛り。まさにフルコースをこれ以上ないほどに満喫できました。
5作品で約3時間(休憩1回あり)。観劇前の時点では、ものすごいサービス! 1パート減らしたとしても差し支えないのでは。とすら思えたボリューム感ですが観終わった今、じゃあどのパートを削るのかと聞かれれば、どのパートも捨てがたく、何より公演順番が絶妙です。
ストーリーテラーによるテネシーウィリアムズの生い立ちや境遇の解説があり、より深く鑑賞できる工夫も。
(1パート目)
売れない青年小説家が主人公。ぞんざいに扱われ消えゆく家財道具が、彼の人生と重なって何とも言えぬ空虚感が広がります。
(2パート目)
私自身が演劇に魅了されるきっかけとなった『欲望という名の電車』。今も篠井英介さんや大竹しのぶさんのブランチが心の中にクッキリと息づいています。
顔のシワを誤魔化すことに苦心し、失笑モノのプライドも粉々になっていく独り身女性の行く末はまさに『欲望という名の電車』ラストシーンのクローズアップ版。
こんな形で原点を観ることができるとは感激です。
(3パート目)
まさかの笑える作品! かなりシニカルな笑いではありますが。
(4パート目)
病気でお払い箱確定の娼婦。
疑念と混乱の中、唯一輝きつづけるのは昔の恋人への想い。痛々しい程のその渇望。
ちょっと『吉原炎上』の西川峰子さんを思い出してしまいました。
観終わった後、タイトルの意味が沁み込みます。
(5パート目)
安アパートの共有スペースにて男3人の会話劇。
唯一のオリジナル作品ですが、テネシーウィリアムズのエッセンスが見事に包含されており何ら違和感なく楽しめました。
柑橘系を一滴垂らした様な終わり方が良かったです。
容赦なく引っ剥がされていく虚栄心・・・今回の一連の作品から特に共通して感じられました。
2017/11/04 14:04
翠野さんは、そこはかとなく寺島しのぶさんを彷彿させ、その寺島さんは『欲望という名の電車』でブランチの妹役を演じており、個人的には妙な繋がりを感じながらの観劇でした。残りの公演もどうか頑張ってください。