満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/21 (土) 14:00
芸術集団れんこんきすた主宰の中川朝子さんからも、出演される木村美佐さんからもこの舞台への思いなどを聞いて、きっとすごい舞台になると思っていたけれど、私の予想など遥かに超える本物の素晴らしい舞台。
今回、作・演出の奥村千里さんの緊急手術や入院もあり、奥村さんご自身のみならず、出演される中川朝子さん、木村美佐さん、石渡弘徳さんも 『木立によせて』を書き上げ、上演できるのか、不安に思った事も焦りを感じた事もあっただろうし、奥村さん退院後の舞台稽古も想像を絶する程大変だったに違いない。
そんな、予期せぬ事態をも微塵も感じない程の質の高さと完成度、そして何よりも『木立によせて』への思いとそれぞれが演じる人物そのものの想いと熱が膚身に心の奥底奥深くにビリビリと感じる圧巻の素晴らしい舞台で、魂が震えた。
学ぶという事の大切さ。勉強は知識と情報を身に付けるために必要だが、ただ知識が有ればいいのではなく、得た知識、情報を基に自分で考え、精査し、何が真実で何が誤りか、得た知識と情報をどう活かすか、何が大切かを知り、その知識と情報を軆に染み込ませ消化し、昇華するのが教養と知性。
そうして得た教養と知性は、何があっても、誰であっても、何者にも奪われることはなく、自分の中の教養と知性は、誰にも奪う事は出来ないという事、1度手に入れたら奪われないもの、自分の中から無くなりはしないものが教養と知性だと、アルティナイの言葉を聞いて思った。
何の為に勉強をするのか。それは、いついかなる時も、誰にも奪う事が出来ない、知識を得、自分で考える力をつけ、教養と知性を身に付ける為である。無知は時に残酷な事態を引き起こす。その無知が引き起こした最も愚かなものが戦争だと思う。
『木立によせて』は、学ぶ事の意味と大切さ、学んだ事をどう活かし生きるのか、自分で考え、判断する力を持つという事とその意味、そして、本物の教養と知性は常に自分の中にあり、誰にも奪う事が出来ない宝物であるという事を感じた舞台だった。
文:麻美 雪