期待度♪♪♪♪♪
「人間椅子」って、あの乱歩のか? だとしたら面白い。「家畜人ヤプー」が出版されるずっと以前に書かれた人間椅子は、いみじくも傑作ヤプーを先取りするような視座を持った作品だからである。戦後文学の最大傑作のひとつであろう「家畜人ヤプー」こそ、日本人的厭らしさ、汚らわしさを実に見事に形象化した作品だからである。乱歩自身、バイアスを掛けて観られる者たちを通して鋭く時代とこの国の病弊を観る目を持つ作家だったから、このように優れた作品をものしているのであろう。因みに彼の「芋虫」ほど優れた戦争批判文学も少ない。まこと、文学作品として最も痛烈に戦争を批判した作品が、実に分かり易い点で、彼の真の姿勢がうかがわれよう。