満足度★★★★
船戸与一原作「満州国演義」…揺れ動く時代の奔流の中、無残に、歴史のはざまに棄てられていく若者たちを描く3部作」の第一弾。軍靴の音が高く響くようになった昭和初期、満州の地を舞台に壮大な叙事詩を思わせる。時代背景、その深刻な状況下で、一人ひとりの人間の生き様を丁寧に描いた公演である。
本公演は深いテーマの追求、映画の「フィルムノワール」に対し、演劇で「テアトルノワール」という新しい分野を創り出したいという野心的な作品でもある。
物語は日本国内・満州という地を交錯させるような展開で、登場人物も多く置き去りにされそうになる。そこは当日パンフ(写真掲載するためコート紙を使用。B5版二つ折り)に、物語の展開(登場順)に沿った配役が記されている。前文、演出のことば(森井睦 氏)、そして満州の豆知識が記載されており、オーソドックスな構成だが、公演を興味深く観させるための工夫が施されるなど丁寧な作りである。
(上演時間2時間20分 途中休憩なし)