実演鑑賞
満足度★★★★
三島由紀夫の小説「金閣寺」と「九相」を題材に描いた公演は、美しい心象劇として印象に残る。小説は、1950年7月に実際に起きた「金閣寺放火事件」を基にしているのは周知のこと。
公演は小説同様、主人公である学僧(川口)が金閣寺の美に憑りつかれ、放火するまでの経緯を一人称の告白という形で展開して行く。
主人公の視点から観た美、死生観のようなものが静かに、時に荒々しく描いている。一方、戦時中の世相や無常さを京都の島原遊郭の芸妓達の視線を通して描かれる。学僧の内面、芸妓の外面という対照的な観せ方は、観念的に陥りそうな物語を公演として観(魅)せているところが好い。
(上演時間1時間30分)