満足度★★★★★
鈴木亮平さんといえば「東京タラレバ娘」の「早坂さん」が記憶に新しい。
この早坂さんは非常に「いい人」で、世の常としていい人は最後にババを引くのであった。
その早坂さんと鈴木さんをダブらせ近況を追うようにして、私はこの舞台まで足を運んできた。
この「いい人」の早坂さん、もとい鈴木さんが戦争から凱旋してきた将軍というのは何かピッタリこないと思ってしまったが、その疑問は徐々に解け、後半に訪れる見せ場で「鈴木亮平+谷田歩」の狙いを完全に理解したのであった。
さて表題にある「トロイ戦争」について私が知っていることと言えば「トロイの木馬」と「アキレス腱」くらいだ。もちろん詳しく知っている方が親近感が湧くだろうが、この戯曲はその枠組みを借り、しかもその前夜を「捏造」したものなので、観劇中に私が理解に大きな困難を感じることはなかった。
初回を観たのだが私にはミスとか、ぎこちなさとかは一切感じられなかった。
船員役の方までさすがの実力だった。
その中でも大鷹明良さん演じる詩人(兼大臣)は観客の非難の視線を一身に浴びるというおいしい役だ。私の目にはうれしくてたまらないという思いが滲み出ているように見えた。
それにしても初回の不安は大きかっただろうがスタンディング・オベーションに応える早坂さん、もとい鈴木さんに安堵の表情があってこちらもうれしくなった。