メビウス‐201709- 公演情報 リンクスプロデュース「メビウス‐201709-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     Aチームを拝見。男女の2人芝居だ.。

    ネタバレBOX

    2人芝居は無論ダイアローグの基本。多くは同性による2人芝居が多いのではないかと思うが、今回のそれは男女1人Ⅰ人の2人芝居である。LGBTの方には怒られるかも知れないが、基本型、ヘテロカップルということである。
     愛の話であるが、その愛は不変・不屈の愛であり、何とローマ時代のカルタゴ(北アフリカに在った古代都市国家)とローマの戦争(第1次~第3次までのポエニ戦争が有名であるが、カルタゴの猛将、ハンニバルの名前くらいは多くの人が知っていよう。)から連合国軍対共和軍、中東軍対欧米軍等々数々の戦争で、或いは敵味方に、或いは主従に、在る時は人と動物として、ある時は女性とLGBTとして等々、各主体も変化し続けながら愛の念・記憶の塊として形象された枯れない花を徴に出会い・確かめ合いながら、その都度、戦によって引き裂かれた愛が、シンギュラリティーを経た未来の植民星に在って、それも廃棄されたアンドロイドの捨て場となっている植民星で経年劣化が進みエネルギーも切れようとする最後の2時間弱を通して確認される、3千年近い純愛の物語。極めて硬質なクリスタルの結晶のような、かつて湖のほとりで暮らし、慎ましく小さな幸せを育んだが、戦争によって奪われた2人の愛を、時代も空間も超え、更には存在の様態さえ超えて、貫き通した愛の物語。
     このぶれない愛が素晴らしい。流石、ナツメクニオの作である。同時にシンプルな美術だが、微妙にバランスが崩された美的センスと各部材の配置、そして照明と音響で齎される劇的効果の妙、更に息の合った役者2人による演技、随所でフィードバックされるアンドロイドとしての現況が、哀しさを加速する演出の巧み。自分の好みとしてはおちゃらけを抜いた方がより好感度が増すと思えたにせよ、素晴らしい作品である。
     演者によってもかなり印象が異なるであろう感触を持った作品であるが、それだけ、脚本の持つ深みも感じられる作品である。

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    2017/09/29 02:47

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