満足度★★★★★
今回も素晴らしい舞台、ありがとうございました。つかこうへいに、それほど詳しいわけではありません。
ですがやはり、「いつか公平」というのが氏の信念だったような気がします。
そして奇しくも、今回は同じ月に、ふたりの売春捜査官を見ることになりました。
それがかえって、稲村梓の木村伝兵衛のすごさを際立たせました。稲村伝兵衛の男言葉や乱暴な物言いには、男社会の差別と戦っている女の悲しみと矜持があふれ、
何度見ても、これこそ、つかこうへいだと、最後には涙が出てしまいます。
ともすると、無理に大声を発し、乱暴な態度をとってみせるだけの木村伝兵衛になりがちで、そこには単純な虚勢を感じ、僅かながら不快感が残ります。
しかし、稲村伝兵衛にはそれが全くない。あれは上滑りな虚勢では全くない。
だから、セリフの一つ一つが、しっかりとこちらへ届きます。
もちろん、稲村伝兵衛をめぐる人々の心の叫びも、毎回、きちんと伝わってきます。それもすごい。
今回は佐藤竜氏が出色でした。