満足度★★★★
鑑賞日2017/08/28 (月)
「君は即ち春を吸ひこんだのだ」観劇(シライケイタ出演)、その少し前に劇作家協会新人戯曲賞受賞で、名を知っていた原田ゆう。「君は即ち・・」はもう一歩という印象だったが、一度観たきりで見逃している温泉ドラゴンの分業体制公演(作と演出が別)を観たさに出かけた。
架空の国、時代の設定でテーマは戦争。戦火は及ばない地方ではあるが、政治は否応なく入り込む。
藤井由紀(唐組)の客演も気になる所、ホームとはまるで印象のかけ離れた役柄で、スッピン(多分)で通した潔さとも相俟って記憶に刻印される視覚体験だった。
架空の国や時代を設定した芝居は、リアルで通せば破綻が起きやすく「笑」に逃げたくなるところ、(気になる部分は多々あったが)ストレート勝負でぶつける演出が、やはり正しいと思える締めくくりになっていた。
時折流れるラジオ番組(放送室の風景も再現)、反政府運動、違法な手段で難民を亡命させる商売に手を染める女、劇中で夫を失う女・・。リアルなフィクションである演劇の図面引きに、作家が注いだ汗の跡が見えるような気がして、拳を握った。