ゴドーを待ちながら 公演情報 シアターX(カイ)「ゴドーを待ちながら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     20世紀世界演劇の代表作とも目される今作は、今も世界中で上演される人気作品の一つであり、ベケット以降の世界中の演劇人に多大な影響を与えた作品であるが、ジャンルとしては、悲劇にも喜劇にも属さぬ所謂悲喜劇の傑作ということになるだろう。

    ネタバレBOX

    悲劇の只中には、自分達自身をシャレノメすことによってしか生きられない次元が存在する。その極めて微妙で而ものっぴきならない世界を描いたのがベケットという作家だったのではないか。その世界観は単純には表せない。
     今作でもこの悲喜劇の持つ哀しいのに寂しく笑える空気が満喫できた。登場人物は無論多くない。ウラジミール、エストラゴンの両名にポッツオ、ラッキーそしてメッセンジャーの少年のみであるが、シアターXのかなり広い劇空間をしっかり満たして迫ってくるホリゾントの使い方や、風の音の実に効果的な使い方、各俳優の出身地の差(発音や各地域相互の歴史的関係を)芝居全体に内包させるような演出によってホントに空気としか言えないような濃密な雰囲気を醸し出している。演出家の言によれば、ベケットに指定されたオリジナル通り、基本を守って演出すると作品の深みがより濃く出てくるような作品だということであったが、実際そうであろう。日本の劇団が演じると個々の演出家や役者の職人芸は見事だが、作品の本質は脇に置かれる場合がまま見受けられるのだが、流石にベケットの地元でも活躍する劇団だけあって、作家の本質を良く表現した舞台である。

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    2017/09/06 02:18

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