満足度★★★★
小劇場には珍しい直球型の政治ネタである。
演劇と社会はもちろんかかわりは深いのだが、日本の新劇の歴史からも、この両者はいかにも「政治的」な関係でぎくしゃくしてきた。この舞台は武器輸出と中小企業の話で、少し前にトラッシュマスタズが同じテーマで、家族劇でやっていた記憶がある。一口で言うのは難しい問題で、ことにこの素材から社会と家族の運命を描いて、観客を納得させるのは容易ではない。
かなり現実的な素材なので、社会人が見ると、設定の安易なところとか、現実の法制の無知とかが露呈するが、こういう素材に小劇場が取組み、しかもかなりの観客(私の見た会は満席)を集めていることは、ジャニーズの顔見世芝居(これも時に面白いものもあるが)や2・5デメンションだけが舞台と言うよりは、はるかに健康である。
俳優たちは妙に現実的でリアリティがあるが、役を通して長続きしない。地と役とがまだら模様で、そこはいますこし精進されると良いと思う。作演出は力みすぎ。役の解釈ももう少し深く見て演技をつけないと、言葉は悪いがマンガになってしまう。
しかし、1時間45分こういう堅いネタでよく頑張った。