「月いち座布団劇場 八月篇」 公演情報 占子の兎「「月いち座布団劇場 八月篇」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    十周年を記念しての月いち座布団劇場だが、今回のネタは3本。{ところで次回の宣伝をしておこう。10月11日午後3時と午後7時の予定だ。(行く場合は必ず自分で確認するように。)}

    ネタバレBOX

    序に「天狗裁き」破に「らーめん屋」そして急に「たちぎれ線香」の順で演じられた。元ネタが関東なのは破のらーめん屋、これを挟むようにして2本は上方落語である。何れも傑作という評価のネタばかりだが、この選定が良い。むろん、関西もものを関東に持ってくるわけだから、場所の名の変更や如何に上方の元ネタの持っている味を損なわずに関東風の味に仕立てるかは、詩を翻訳するような難しさがあり、大変な作業なのだが、この辺りの翻案も見事であり、本来が落語という独り芝居の権化のような作品をとても良いキャスティングで各キャラを立たせた通常のストレートプレイに仕立てている手際も良い。江戸の下町方言への転換もリズム感も見事である。(まっつぐ行ってしだり等々) 
     元ネタのセレクトの素晴らしさは、人間の本性というものを何れも良く描き出した作品であるということがある。誰しもが持つ感情の深部に分け入ってその魂を掴みとり夢中にさせたり、しみじみ感じさせる作品ばかりであるのみならず、天狗裁きでは、下げを少し変えて原作の笑いより、更にぐっと怖い無限ループを現出させて見せ、永劫回帰のような恐ろしさを表出させた。また、音響・照明などの効果も実に上手に使い役者達の演技を盛り上げている。
     真ん中を占めたらーめん屋は、故柳家 金語楼が、五代目古今亭 今輔に書き下ろしたという人情噺の傑作。原作の良さを見事に演じた面々の演技が素晴らしい。各キャラを演じる役者たちの間の取り方も絶妙で随所に笑いを誘いつつ、深くしんねり、人の心を撃つ。見事な演技であった。
     たちぎれ線香は、遊女と大店の若旦那の悲恋を描いた作品だが、これだけ性描写が流行る昨今だからこそ、この純愛の美しさ、哀れが際立つ。今作でもキャスティングが見事である。番頭役の厳しくも品のある佇まいが素晴らしい。無論、倉に監禁された若旦那への恋文が、八十日で途切れたことの意味する所、百か日の監禁中は、愛しい小糸(この名も恋とに掛けてある)からの手紙のことも一切知らずに過ごした若旦那ではあったのだが、解き放たれるや否や直ぐに置屋を訪ねた若旦那は、残酷な事実を知る。小糸の祀られた仏壇に手を合わせる若旦那に小糸の為に作らせ、今では供え物となった三味が鳴りだす。奏されるのは、若旦那の大好きな曲。だが、中途で音が途切れた。その訳は、線香が燃え尽きた為であった。
    これが下げだ。何とも切ないではないか。

    3

    2017/09/01 04:51

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  • 占子の兎さま
    また10月も拝見したく存じます。
    すっかり秋めいたこの頃ですが、
    いつまた残暑がぶり返すかもしれず、
    お体お大切に。また、皆さまに
    お会いするのを楽しみにしています。
                ハンダラ 拝

    2017/09/02 23:36

    ハンダラ様
    御来場、きめ細やかな観てきた!コメント、そして次回の公演情報まで入れていただきまして有難うございました。
    次回「月いち座布団劇場 十月篇」最終回です。
    又是非いらしてくださいませ。
    占子の兎 

    2017/09/02 08:50

    ホントに良い公演でした。良い舞台を見せて頂き有難うございました。
                                     ハンダラ 拝

    2017/09/01 04:55

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