ルート64 公演情報 ハツビロコウ「ルート64」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/08/08 (火) 19:00

    座席1階1列

    自身の欲望と権力欲を美辞麗句で巧妙に弱者に滑り込ませ、「教祖」となる。
    批判する者・逆らう者亡き者とすることを、「浄化」という。
    弱者の洗脳と忠誠を誓わせることを、「修行」という。
    しかし、この実態を見破らせないように、実像をぼやかす意図でそれぞれを「グル」「ポア」「ワーク」という。
     2時間がっつりでした。姿を見せない声だけ出演のグルと、教団の体質を示す逸話に出てくる並木で計6名の登場人物と4人の役者さんたち。
    不測の事態、杜撰な計画、決定意思なきままの散漫な責任所在によって実行された、行き当たりばったりの弁護士殺しのその後と「なぜ?」を描いた作品。
     このドラマは、1晩の話なのか、それとも数日の話か。どうも時間軸が定まらず、それでも悠久の時間が流れているようで、わずかな時間でもあるようにも思わせる。ひたすら夜明けを怖れ、相互の軋轢を増し続ける登場人物たち。海は近くにあるのか?グルの言う眩い光は一瞬でも見えたのか?
     死体役の人の皆さん、どう考えても千秋楽まで持ちませんよ。あんなに乱暴されちゃ笑。

    ネタバレBOX

    「ルート64」の「64」て何だろうと考えてみたが、どうも舞台での説明はなかったと思う。こちらの投稿でも指摘はなく。「無(6)」と「死(4)」への道?
    彼らにはまだ、自身の良心に「戻る」という選択肢はあったはずなのに。死んだ自分の妻や子供のことを思い出す刹那、殺した赤ん坊を母親と一緒に埋めてあげたいと思い立った行動、など。 
    ハツビゴロウさんの舞台は、まだ数少ないがすべて観たわけではない。でも、今のところあるフォーマットがある。
     まず、進行している現在→それがどのような事件に起因しているかが暗示される→登場人物の背景が独白調ないし登場人物相互の指摘で明かされる(心象描写)→事件の端緒が明示される(過去)→登場人物たちの戸惑いや深い絶望感(少し時間軸が進む、ただし過去)→事件の詳細な経緯(過去)→深い絶望感(現在)というような。
    私は、この解きほぐされていく事実を時間軸を交錯させさながら見せていく手法は好きです。そこに待っているのは、抗うことができなかった弱き弱き救済されない魂。
    ラストで心身共に憔悴しきった4人が深い眠りに落ちる。殺された赤ん坊が燃やされる中、暗闇の中で「起きて!」と3人に叫ぶ片桐の悲鳴にも似た1言。いったい何から起きるのか?

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    2017/08/09 11:13

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