ルート64 公演情報 ハツビロコウ「ルート64」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     犯罪の現場に立ち会うかのような切迫感が続く、2時間強。観る方も力が籠る。それだけ迫力のある舞台。(隠れ5つ☆)

    ネタバレBOX


     実にチャレンジングな舞台である。通常の展開が無い。所謂、事件発生から時系列に沿って、事件の原因を探り、様々な情報、状況捜査などから浮かび上がった情報を一旦ばらして、論理として組み立て直し整合的な答えを見つけ出すと共に、犯人の動機を探りつつに絞り、事件への関与を明確化することによって、犯意を推理・確定し事件として起訴するに至るような展開が無いのである。あるのは、今作で扱った事件のモデルとしての坂本弁護士一家失踪事件に関わったと思われる4人の人物たちが、この事件現場と遺体処理の間で、失策を含めた行動をとり、仲間内で揉め、殺人事件という重い犯罪の罪の意識に押しつぶされそうになりながら、必死に打開策を見出そうとする異様な心理的葛藤のリアリティーである。確か、この事件は、結局真相が掴めず謎が残っていたと思う。TBSの坂本弁護士取材ビデオをオウム幹部に見せたことが、坂本事件の発端になったと言われていることについての、事後処理のまずさなどもこの事件が単に一犯罪事件という範疇に収まりきれなかったことの一端を為そうし、オウムのグルたる松本の下に集まった出家信者、幹部の多くがかなりのインテリであり、而もかなり幼児性を帯びたメンタリティーの持ち主でもあったこと、今作の4人に端的に描かれているように、カルマを、修行やワークによって解脱したのではなく、単に教団の洗脳システムを自己のシステムとして取り入れたに過ぎない、幼稚で決して利口とは言えない、自らの判断の根拠を持ち得ない無能者ばかりであることもまた明らかである。
     今作に取り組んだ、ハツビロコウの総ての人々(作、演出、役者、効果、裏方スタッフ迄)が闇の中を手探りで進むように明らかにしてきたのは、当にこの点ではなかったか? 通常のコンセプトには当てはまらない題材を、現場に何度も立ち戻り、諸説を体感してみせる、という極めて特異な方法で舞台化してみせた努力とチャレンジ精神に拍手を送りたい。一方で評価し難い作品である。何故なら、評価すべき座標が無いからである。だが、上記の如き内実から、隠れ5つ☆とした。つまりポテンシャルの高さ、先にも述べたチャレンジ精神、そしてそれを舞台化し得た個々の努力と工夫と労力に対して惜しみない賛美を送りたいのだ。
     まだまだ書き足りないことがあろう。例えばタイトルについてもだ。然し、コリッチでは此処までにしておく。何れ、もっと調べて公共空間Xに発表するかも知れない。それだけ考えるべき問題を与えてくれた。

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    2017/08/08 03:31

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  • 読み返したら、表現として重複する部分があったり、入力違いがあたtりしたので少しだけ修正しました。でも、高い評価で、やった甲斐がありましたね。

    2017/08/09 05:28

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