ワンマン・ショー 公演情報 やっせそ企画「ワンマン・ショー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    面白くて、説明にある東京都新宿区新宿三丁目8-8の「箱」から出ることが勿体無く思えてグズグズした。チラシは、変形版をこれまた変に折り、写っている写真の人物の顔は皆見えない。

    舞台セットは物語の印象を表しているようだ。中央に具体的な物、周りは抽象的で表現し難い。その対比のようなものが、登場人物の存在と立ち位置を示している。

    物語は、引き出しが多いタンス、またはジグソーパズルのようで、その場所・大きさの違いが時間や空間の違いを思わせる。それらの組み合わさって出来ている物語は、その全体像がラストに明かされる。その意味で一種のミステリーのようであり、その謎を解く鍵を持つのが…。色々な引き出し(ピース)を覗き込むが、それが何を意味するのか頭を巡らせるので、少し難しく又もどかしい気もするが、順々に引き出しの関係、繋がりが見えてくる面白さがある。観応え十分の秀作。
    (上演時間2時間強)

    ネタバレBOX

    セットは中央に古いテーブルと椅子。周りは無秩序に立てられた柱に白っぽい布や紐が垂れ下がり、乱れたもしくは退廃・荒廃したイメージ。また床の所々が張り合わせのようになっている。全体的に不統一で不安を抱かせる。

    時間と空間を自在に切り張りしたジグソー・パズルのごとき構成。ちりばめられたキーワードの台詞などを手がかりに、頭の中で、出来事の時系列の整合を巡らすことになる。ラストに、バラバラだったエピソードの欠片がピタリと揃い、謎めいていた劇の全体像が見える納得が、この作品の見どころのひとつであろう。

    ジグソーのピースは、順々に次のシーンが描かれる。
    ●青井あゆむは、「懸賞マニア」で、自分の身内等の名前を使用し、応募必要事項以外にも細々書き込む。 ●あゆむの仕事は町の航空写真を撮り、変化があれば役所に報告する。ある日、増築された部屋があるにもかかわらず、届け出のない佐藤家を訪ねる。●あゆむの妻・紫(ゆかり)は、あゆむから受け取った葉書を投函せず、段ボールにため込んでいる。 そして、紫の兄・白根赤太に葉書が詰まった段ボールを捨てに行ってくれと頼む。  ●無職の赤太は、自治体の女・イェローから仕事を斡旋された。依頼主・緑川緑から言い渡された仕事の内容は奇妙なものだ。「近いうちに、一人の男が私についてあれこれ聞きにくるが、私のことなんて知らないと答えてほしい」。 ●緑は、夫・黒雄と青井家の隣りに暮らす。黒雄は、青井家を監視し、庭の池が大きくなっていると言う。 ●赤太が捨てた段ボールは、山中に廃棄したが誰かによって再び青井家の玄関に戻る。

    断片の集積は、現実とは一つではなく、見方によって、その受取り手の数だけある。それは、唯一懸賞で当たったとされる木彫り人体人形に象徴される。目鼻がない顔の人形(無表情)であるが、その左右から見ると泣き笑いの区別がつくという。この人形は登場人物イェローが担っている。さらにラストシーン…この劇全体が「ワンマン・ショー」ということが明らかになる。その衝撃が素晴らしい。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/08/04 19:56

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