ノンフィクション 公演情報 新宿公社「ノンフィクション」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    鑑賞日2016/02/28 (日)

    28日、日曜のマチネを拝見。

    ネタバレBOX

    舞台は、冷戦下の旧・東西ドイツ(&南北朝鮮も?)をイメージした架空の国。
    映画評論の売れっ子ライターである主人公の視点を中心に、「ベルリンの壁」の崩壊前、そして崩壊後の現在における、若い(若かった)男女の青春群像劇…といった趣きのストーリー。
    舞台セット・音響・照明もあいまって、醸し出す空気感は、ヒロイン役の土佐まりなさん(主人公のかっての恋人)を、過去拝見してきた舞台の中で一番魅力的に映し出し、儚い運命を予感させる女性(演・青木沙織さん)の絶叫には、胸裂ける思いを共有させてくれました。他の女優陣や、主人公の青野竜平さん、友人役の奥田努さん等の男優陣も、シーンに沿った登場人物の心情の変遷を好演。まさしく、欧州の名作映画を観た…気分に浸れた2時間でした。

    ここからは、作品への客観的評価というより、あくまでも私的な感慨なんですけど…ベルリンの壁が崩壊したのが1989年、というよりも平成元年の11月。本作品の作者・出演者・スタッフの全員が生まれる前、あるいは、物心つく前の出来事です。でぇ、この頃、既にダメダメ・サラリーマンだったオッさんのオイラ、否応なしに、当時の空気(それ以前の東西冷戦の時代も含めて)肌で知ってるんですよね。そんな骨董品の観客からすると、新宿公社さんの『ノンフィクション』、あくまで架空の国のおはなしだとはいえ、外見だけ・雰囲気だけ、都合よく借りてきただけじゃないの?と、つい意地悪な見方もしてしまいがちだったんです。
    時代設定も何もかも異なりますが、軍事政権下・後の韓国社会の若者達を描いた『鳥たちは横断歩道を渡らない』という著名な戯曲があります。その時代をまさに生き抜いた『鳥たちは…』の作者が、もし、この『ノンフィクション』書いたとしたら…ここまでサラリとして・爽やかな観劇後の印象にはならなかっただろうなぁ。平和な時代に生まれ育った方のホンだなぁ…と、ある意味、感慨深いものがありました。

    とかなんとか、「あの頃はのぉ~」という、若いヒトにはアンフェアな感想を述べましたが、『ノンフィクション』、昨日が千秋楽でなければ、ちょい自信をもって、お勧めの作品だったかなぁ。

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    2017/07/04 21:15

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