風に抱かれて 公演情報 立教大学演劇研究会「風に抱かれて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    自由の代償! 甘えが無くて良い。

    ネタバレBOX

     東京から作家が僻村を訪ねてくる。彼の目的は、村に残る民譚や風習の収集であるが、案内役の娘はしきりに村からの脱出を勧める。彼女は村きってのインテリで外部の情報、村双方の情報に通じて居た為、村長自らが案内役として抜擢したのだ。然し、作家はこの風の強い村の秘密に出会ってしまう。結果、囚われの身となり、過去に同じような道を辿って幽閉された民俗学者などの男達に出会うが、風の精に最も気に入られたのはどうやら作家であった。他の男達は憧れの風の精に会えないことで嫉妬の炎に身を焼くが、他の男達が、村娘達に懲罰を受ける為に連れ出される時を見計らって、案内人が救助の手を差し伸べる。あと一歩で脱出できるという段になって作家は美しい風の精に身を任すことに賭ける。恰もそれが宿命であったかのように、俗世の自由への道を断念し、宿命に身を任せる所で終劇となる。
     然しながら、風の精に身を委ねることは、永遠に幽閉されることを意味する。だが、作家にとっては、こちらが真の自由であり、大した価値を認めることのできなかった都会生活や村の日常にさよならをした時、真の自由即ち、絶対自由のアンチノミーに飛び込んでゆくのである。解説しておくならば、自由とは自由な選択の意味であり、絶対自由を手に入れた場合、我々の出会う事態とは、総てが選択可能であるが故に何一つ選択できないという状態だからである。換言すればそれ故にこそ、絶対自由なのだ。

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    2017/06/19 14:50

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