満足度★★★★
木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談』千穐楽@池袋あうるすぽっと観劇
物凄く、丁寧に準備をされた公演だと初見だったが感じた。日本人ではあるが、歌舞伎や古典に慣れ親しんでない自分が6時間。物語の中に没入し、時に笑い、時に涙し、時に驚き、そして、時空を超えて「今」目の前の舞台を楽しんだ。
あらすじもさらっと読む程度で観劇。
想像していたものより、自分が笑ってる事にびっくりした。
勿論、演出の力だと思うが、肩に少し力を入れてたのでほぐれた。
初めて観るきっかけは小沢道成さん、岡野康弘さんが出演されると言う事から。
3幕がお二人の同じ場面があり、観ながら、なんとも、不思議な感じだった。小塩田又之丞役の小沢道成さん。討ち入りに行くことが出来ないとなった時の表現に、はっとした。手の甲の血管が浮き立ち、感情が湧き上がってくる。
一幕のお色さんも、小沢さんの技量が出た配役だった。
赤垣伝蔵役の岡野康弘さん。
この方の安定感はとてつもなく、凄い。
視線が穏やかなのにとても、まわりの空気を切るような気迫を
漂わせる。
お岩さんの愛が強ければ強いほど、観ていて、胸が痛い。ただ、好きなだけなのに・・。好きになった男があいつでなければ、親子三人で仲良く暮らせたのだろうか。今も、昔も、そういった感情は変らないものだと。素敵な時間が過ごせた。
2幕のお歯黒を施すお岩さんの、姿が怖いよりも悲しい。
見えない涙がほろほろと零れ落ちる気がした。
「愛」を通そうとする、いろんな人間たちが
滑稽でもあるし、素直でもあるし、人の本質でもあるかと。
自分の想いの為に動く人たちと
自分以外の人の為に動く人たちの
対比も観ていて感じた。
劇中の飛行機の音。ふしめ、ふしめで使用。
あの意味は・・・と考える。